

これまでがんと生活習慣を見てきましたが、今回は「食」について考えます。皆さんは今までの経験で「これを食べたらがんが消えた!」というような情報を目にしたことはありませんか?本当にそんな食べ物があれば良いと思いますが、残念ながらそんな食べ物はないようです。まれに経験談があったとしてもその因果関係がはっきりとわかっているわけではありません。
ヒトの細胞ががん化してがん細胞として塊を作るまで10年以上の年月がかかると言われていて、本来その間に免疫細胞ががん細胞を死滅させる時間はたっぷりあったはずです。免疫細胞が元気に働いてくれるには、まず体内の70%の免疫細胞が存在している腸内環境を整えてあげること、つまり「腸に何を入れるか」がとても重要です。どんな食材を摂取すればがんのリスクを下げてくれるのでしょうか?
腸内細菌のエサとなる食物繊維
野菜や果物から摂れる食物繊維には、不溶性と水溶性がありどちらも大切ですが、血糖値の上昇を緩やかにし、短鎖脂肪酸(炎症を抑えがん予防の効果もあると言われている)を作り出す水溶性食物繊維は特に有用です。
*水溶性食物繊維を比較的多く含む食材
【野菜・果物】ニンジン・アボカド・オクラ・キャベツ・ブロッコリー・ゴボウ・サツマイモ・リンゴ・バナナ
【その他】オートミール・オオムギ・ヒエ・アワ・キビ・キヌア・レンズマメ・ヒヨコマメ・キノコ・アーモンド・ワカメ
中でもどの種類のキノコにも含まれるβ グルカンは免疫力を高めがん予防にも効果があると言われています。また、ワカメなどの海藻類にあるフコイダンという成分は、がん細胞の増殖を抑えたり血管新生を妨げたりする効果があると言われ、特にがん治療中の方にお勧めのようです。
発酵食品
「腸活」という言葉が広く知られるようになってきましたが、その中心には発酵食品を摂取することがあります。発酵は様々な国で主に保存方法の為に引き継がれてきたものが多く、人にとって良い働きをする様々な菌を生み出し、その菌を利用した食品が発酵食品です。毎日のように摂取できるものと言えば、味噌・醤油・納豆・麹・ぬか漬けなどです。ただし、保存料や着色料などの添加物が入っていないかをチェックすることを忘れないでくださいね。(写真①)
ファイトケミカル(植物特有の化学物質)
野菜や果物にはカラフルな色や香りなど沢山の化学物質を含み、その多くには活性酸素の害から身体を守ってくれる抗酸化作用があります。また、それぞれの色には固有の健康効果があることも知られています。表①で代表的なものを見てみると、食材そのものをいただくことの大切さがわかりますね。国立がん研究センターでは、日本の4地域の成人男女約4万人に行った10年間の追跡調査をもとに、野菜や果物摂取と胃がん発生率との関係を調べた結果を発表しています。「ほとんど食べない人」を基準にして「週に1〜2日食べる人」「週に3〜4日食べる人」「ほとんど毎日食べる人」の胃がん発生率を比較しています。その結果、緑色の野菜、黄色の野菜、果物では週に1日以上食べると発生率は低くなる傾向が見られました。緑黄色野菜以外でも同様の結果が出ています。(グラフ①②③④)野菜や果物には一つの食材に多数のファイトケミカルが含まれているためその特定はできませんし、どのくらいの量が必要かなどの点はこれからの研究課題になるとされていますが、胃がんに関しては野菜や果物の摂取はその予防につながると言えそうですね。食卓をカラフルにしてみましょう。
こうして見てみると、特別な食材を食べる必要はなく、いつもの食材ががん予防になっていることがわかります。カラフル食材を常備菜として作っておくと便利ですよ。(写真②③)
最後にがん予防とは直接関連はなさそうですが、免疫細胞の材料になるたんぱく質も必要です。中でも炎症を抑える働きがあるω3脂肪酸を含むいわしや鯖、鯵などの青魚を意識して食べてください。旬の魚のお刺身やなめろうもオススメです。(写真④)
【参考文献】
・「がんにも勝てる 長生き常備菜」 佐藤典宏 著 主婦と生活社
・がん予防のための食事とは 健康長寿ネット
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyou-shippei/yobou-gan-shokuji.html
・食事でがんを予防できるか特定の食品の過剰摂取で弊害も(国立がん研究センター社会と健康研究センター津金昌一郎センター長)|医療ニュース トピックス|時事メディカル|時事通信の医療ニュースサイト
https://medical.jiji.com/topics/1857
・日本人における肉類摂取と大腸がんリスク¦現在までの成果¦科学的根拠に基づくがんリスク評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究¦国立がん研究センター がん対策研究所
https://epi.ncc.go.jp/can_prev/evaluation/8496.html
・がんのリスク 野菜や果物多く食べると本当に下がる?-日本経済新聞
https://www.nikkei.com/nstyle-article/DGXMZO52888140T01C19A2000000/
【表①「がんにならない食事法」石黒成治著 KADOKAWA】
【グラフ①②③④】
野菜・果物摂取と胃がん発生率との関係について¦現在までの成果 多目的コホート研究¦国立研究開発法
人国立がん研究センター がん対策研究所 予防関連プロジェクト
https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/257.html
文/野菜ソムリエ上級プロ 福田ひろみさん(東京在住)
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